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執筆者の写真池田卓夫 Takuo Ikeda

ミューザ川崎で日曜朝のモーツァルト、福川のホルンと優人&東響の美しい対話


CDのジャケット写真を加工

ミューザ川崎シンフォニーホールが主催、フランチャイズの東京交響楽団(東響)が出演する休日11時から休憩なし1時間の演奏会シリーズ「モーツァルト・マチネ」第64回を2021年8月22日に、同ホールで聴いた。指揮と通奏低音のチェンバロは鈴木優人、ホルンは福川伸陽、コンサートマスターは水谷晃。弦は対向配置で8ー8ー6−4−3、管楽器は2管の室内編成でホルン、トランペットにナチュラル管、ティンパニに古典モデルを使った。面白いことにモーツァルトの「ホルン協奏曲第3&1番(レヴィン版)」を独奏する福川の楽器はレコーディング(キング)と同じく、バルブ付きのホルンだった。


両端に置かれた「歌劇《フィガロの結婚》序曲」「交響曲第35番《ハフナー》」も含めて全曲、鈴木はチェンバロを弾きながら、小編成のオーケストラに絶妙な〝合いの手〟を入れていく。「ホルン協奏曲第3番」第1楽章のカデンツァにもチェンバロが加わり、管弦楽との掛け合いだけにとどまらない楽しく、美しい音楽の会話を繰り広げた。福川の陽性で流麗なソロは一切の困難を感じさせず、たっぷりの余裕が日曜朝の安らぎにふさわしい。《ハフナー》交響曲のキビキビした運びにも、睡魔の忍び込む余地はない。コロナ禍の代役需要を通じモダン楽器のオーケストラ指揮経験を急激に積み上げた鈴木は東響の自発性、デフォルトの奏法をとことん尊重、室内楽の緊密さと鮮度、切れ味を兼ね備えた再現で魅了した。

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