今月のパフォーマンス・サマリー(2024年9月)
1日 吉見友貴(Pf)リサイタル (王子ホール)❤️
3日 リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミーin東京vol.4〜ムーティによる《アッティラ》作品解説 (東京音楽大学中目黒・代官山キャンパスTCMホール)
4日 リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミーin東京vol.4〜リハーサル(東京音楽大学中目黒・代官山キャンパスTCMホール)
5日昼 大野和士指揮東京都交響楽団 ポール・ルイス(Pf)(東京芸術劇場コンサートホール)
5日夜 マイハート弦楽四重奏団 (ルーテル市ヶ谷センターホール) ❤️
6日 竹村靖子傘寿記念コンサート(東京文化会館小ホール)❤️
7日 カーチュン・ウォン指揮日本フィルハーモニー交響楽団(サントリーホール)
8日 諏訪内晶子(Vn)&オライオン・ワイス(Pf) (ミューザ川崎シンフォニーホール)
10日昼 リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミーin東京vol.4〜リハーサル(東京音楽大学池袋キャンパス100周年記念ホール)9
10日夜 B→C 長谷川将山(尺八) (東京オペラシティコンサートホール・リサイタルホール)❤️
11日 ロビン・ティチアーティ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 辻井伸行(Pf)
(サントリーホール)🐶
12日 リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミーin東京vol.4〜若い音楽家による《アッティラ》演奏会形式 (東京音楽大学池袋キャンパス100周年記念ホール)
13日 オペラシアターこんにゃく座 萩京子《リア王》 (吉祥寺シアター)
14日昼 サラダ音楽祭2024子どものためのオペラ シュヴェマー《アトランティス・コード》 (東京芸術劇場シアターイースト)
14日夜 リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミーin東京vol.4〜ムーティ指揮《アッティラ》演奏会形式 (東京音楽大学池袋キャンパス100周年記念ホール)
15日 大浦智弘指揮オーケストラ《エクセルシス》(ティアラこうとう大ホール)
16日 池田尚子(Sop)&星野明子(Pf)(福山リーデンローズ小ホール)
17日 チョン・ミョンフン指揮東京フィルハーモニー交響楽団 ヴェルディ《マクベス》(サントリーホール)
18日 「齋藤秀雄先生没後50年メモリアル・コンサート〜小澤征爾さんへの哀悼とともに」(サントリーホール)🍏
19日 MINAMI(吉田南=Vn)&大伏啓太(Pf) (王子ホール)
21日 第4回国際声楽コンクール東京・准本選〜愛好者Y&A(審査員) (彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール)
23日 日本ドイツリート協会15周年記念特別演奏会 (東京オペラシティコンサートホール・リサイタルホール)❤️
25日 アントニオ・パッパーノ指揮ロンドン交響楽団 ユジャ・ワン(Pf)(大阪ザ・シンフォニーホール)🍏
27日 アントニオ・パッパーノ指揮ロンドン交響楽団 ユジャ・ワン(Pf)(サントリーホール)
28日 セバスティアン・ヴァイグレ指揮読売日本交響楽団 エドガー・モロー(Vc)(東京芸術劇場コンサートホール)
30日 河村尚子(Pf)🐶
※❤️は「音楽の友」、🍏は「モーストリー・クラシック」、🐶は「毎日クラシックナビ」の「速リポ」に記事またはレビューを執筆
上旬はムーティが東京・春・音楽祭で展開する「ヴェルディ塾」に密着。ヴェルディ初期の作品ながらイタリア独立&統一運動のリソルジメントの精神を凝縮した音楽として、マエストロが偏愛する《アッティラ》の真価をこれでもか、これでもかと客席の人間も叩き込まれた。本公演のイルドラ・アブドラザコフ(バス)、フランチェスコ・メーリ(テノール)らの歌は万全、長原幸太率いる東京春祭オーケストラは在京オケのシーズン入りと重なったため、首席以外は大学院を出たてくらいの若手を抜擢、彼らが白布にインクの染み込むような急成長をみせ、マエストロはご満悦。東京オペラ・シンガーズも万全だった。この後に聴いた東京フィルの《マクベス》もミョンフンさんの指揮、実力派キャストだから十分素晴らしかったのに、解像度の点でかすんでしまったのは残念。ロンドン5大楽団のうち2つが相次ぎ来演したのもゴージャス、人気ソリストの起用もさることながら40代のティチアーティ、60代のパッパーノと世代を異にしたイタリア系英国人指揮者のマーラー交響曲競演(前者が5番、後者が1番)を通じ、オーケストラ表現におけるイギリス流儀がいまだ健在で、ソリスティックな魅力にも富んだものであることを確かめ、楽しんだ。齋藤秀雄没後50年の命日当日に桐朋学園大学が開いた演奏会は深く胸に沁みたが、そこに音楽学部第1期生の愛弟子、小澤征爾の姿がないのがさびしくもあった。齋藤らが第二次世界大戦後の日本に築いた音楽教育の礎は今や大きな収穫期を迎え、日本のオーケストラとソリストと世界の一線との格差は年々歳々、小さくなっている。ヴァイオリンのMINAMI(吉田南)、ピアノの河村尚子ら国際コンクールの覇者はもちろんながら、日本ドイツ・リート協会のコンサートで素晴らしい《冬の旅》を歌った戸山俊樹(バスバリトン)、モーツァルトとR・シュトラウス、シューベルト、ヴォルフのドイツ歌曲のみのリサイタルを地元の福山で開いた池田尚子(ソプラノ)ら、東京以外を拠点とする音楽家の確かな力量を知る貴重な機会も授かった。
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